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なのかななよ

七日七夜

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1951(昭和26)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,818 字 · 36 页

青空文庫

五

五

昌平はそれから三日三夜、酒びたりになって遍歴した。

どこをどうまわったか記憶はない、根津という処は覚えているが、ともかく岡場所というのだろう。不浄な匂いのする、うす汚ない、小さな狭っ苦しい家で、どこにも新吉原よりはもっと劣等な、口の悪い女や婆さんばかりいた。彼女たちは「なまし」とも「ありんせん」とも云わなかった。

「けちけちすんなてばせえ」

「さっさとしろってばな、いけ好かねえひょうたくれだよ」

「そんなとけえのたばるでねえッつ」

などと云うふうであった。そして、おそらく親愛の情を示すのだろうが、むやみに背中だの肩だのを殴りつけ、またふいに突き倒したり、馬乗りになって噛みつく者もあった。

「これが世の中だ、ざまあみやがれ」

昌平は絶えずそんな独り言を云った。

「これがみんなお互いに人間同志なんだ、お互いに仇でもかたきでもないんだ、どうだ昌平、文句があるか、へ、ざまあみやがれ」

二十五両の包が五つ。新吉原でまず百十両ちかく取られてから、こう乱脈なことを続けたのでは、底をつくのは眼に見えたはなしである。

四日めの朝、まだうす暗いような時刻に、彼はその妙な娼家の一軒から追い出された。