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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

「しかし地球物理学には、どうしても仮定が」

「いいえ、地球物理学というものは、そういうものでは御座いません」

「まあ、そうやかましくいわなくても」

「いいえ、これはそういう問題では御座いません。今日の御話は、徹頭徹尾出鱈目であります」

「まあ、君、そうひどいことを」

「いいえ、今日の御話と限らず、この頃先生が、この談話会で御話をなさいますものは、全部出鱈目であります」

といわれるんだ。どうも驚いたね。皆すっかり固くなっちゃってね。口の出しようがないんだ。田中館先生が、「まあ、まあ、君」というわけで、やっとほっとしたよ。いや凄かったなあ」。

それから当分の間は、実験室の中は、この話でもち切りであった。当時の長岡先生の権威というものは、今日の人たちには、想像も出来ないくらいであった。「先生、決死の勇をふるったんだね」などと、悪童どもは、気楽なことをいって喜んでいたものである。

寺田先生が小宮(豊隆)さんに、ああいう先生は「一度鼻を攫んでぐいとねじり上げて置かないと癖になる」といわれたのは、この時の話である。この名台詞は、小林勇君の『回想の寺田寅彦』に寄せられた、小宮さんの長い序文の中にある。