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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
吉右衛門と神鳴
ついさき頃の『心』の中に、吉右衛門氏と小宮(豊隆)さんとの対談が載っていた。近来にない面白い対談で、芸というものの面白さと恐ろしさとがよく出ていた。
その中で、一見あまり芸とは関係のないように見える話が一つある。それは吉右衛門氏が、非常な神鳴嫌いだという話である。神鳴が出そうな日は、何時間も前から、気分が悪くなって、今日は雷がきそうだということが分る。そしてそれがいつでもちゃんと当るそうである。
こういう話は、何も吉右衛門だけに限らず、よくそういう人がある。夕方に神鳴がきそうな日には、ひる頃からもう頭が痛くなって、蚊帳をつってねてしまうという話は、度々きいたことがある。現代の科学では、人間には未来を予知する能力はないことになっているので、こういう予感が本当に的中するものならば、何か其処にわけがあるにちがいない。
神鳴がくる日は、ひるから頭が痛いとか気分が悪いとかいう話は、聞き流してしまえば、それだけの話である。しかしそれがもし本当ならば、人間に未来を予知する能力があるか否かという問題として、採り上げることも出来る。そうしたら、これはたいへんな大問題である。