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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
ところで凡人には分らない近頃の不思議な洋画のことであるが、あれもあるいは観客を協同製作者としようとする一つの試みであるのかもしれない。もしそうだとすると、これは西洋人の試みた東西文明の融合の一つの現われであるということになる。主張する気持は全然ないので、こういう説明も、一つの可能性として考えられるというだけである。
もしそうだとしたら、ああいう絵は、到底われわれには理解出来ないものであっても、ちっとも差しつかえない。西洋人とわれわれとのものの感じ方は、まるでちがっているからである。例えばディッケンズの『クリスマス・カロル』の中に出てくる幽霊は、われわれは到底理解もまた感得することも出来ない幽霊である。あの幽霊は、鎖をひきずってくるところはちょっと分るが、それは「過去」が幽霊となって現われてくるものである。われわれは、手をぶら下げ、すそをなびかせた幽霊は知っているが、抽象名詞が化けて出た代物には、全然無縁である。だからこの頃の奇妙な絵に描かれている頭蓋骨の役割を理解出来ないのが、むしろ当然なのではないであろうか。
もっともこういう話は、けっきょく西域画や正倉院の絵、即ち千年以上も昔の芸術が好きだという孤老の言であるから、新進の作家諸兄が、何も気にされることはない。