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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
四 日本の新しい病患
もし戦争中に山林を濫伐した結果、こういう大洪水が出たのならば、今から植林をしても、十年や十五年は、木の発育に時間を要するから、この十年なり十五年なりの間は、何らの対策を講ずる必要もなく、また講じても無駄だというような考え方を当然導いてくることになる。それらの点については、後にさらに詳しく述べるが、いずれにしても、このような水害が毎年繰り返されては、日本の国の前途は、まことに暗澹たるものがあることだけは確かである。
四 日本の新しい病患
ひと夏に、全国にわたって八十件の水害、とくにカスリン台風の甚大な被害、これらは当時の人心に暗い影をおとした。政府の方でももちろんこの点は大いに憂慮されていた。当時の安本〔経済安定本部〕の建設局長高野与作氏はじめ、一部の達識の人々は、もしこの程度の洪水が十年も毎年続いて起ったら、水害だけで日本は潰れてしまうであろうと、深い憂慮の念をもって、その科学的対策の樹立に心をつくしておられたのである。
ところがこの心配は、不幸にして杞憂にどどまらず、翌二十三年の夏も、全国的に頻々たる水害が報ぜられた。とくにこの二十三年の九月に襲来したアイオン台風は、著しい損害をもたらしたのである。