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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
九 亡び行く国土
しかしそれはとんでもない間違った考えである。日本の国情に応じて、金がなければないなりに、被害を最小限度に食い止め、現在の国情に適応した最善の策を立てることが、即ち科学的対策なのである。もっとも金がないというのも、どこまで本当か実際のところはわからない。この数年来、国家として随分ひどい無駄使いをして、平気でいるところをみると、金がないというのも一つのお題目であるようにも思われる。本当のところは、金がないのではなくて、何かほかに足りないものがあるのではないかと思われるくらいである。まずその点を明らかにすることが、洪水の科学的対策の第一歩である。
九 亡び行く国土
日本の河川は今日惨ましい姿になっている。洪水の時や雪解け増水の時に、堤防の上に立って流れ去る水をみていると、あの中に、ありありと亡び行く国土の姿をみることが出来る。
雪解け時の石狩川の川口に立って、渦をまいて流れて行くあの濁流のすがたをみているうちに、あれが日本の国土が文字通りに削られて行く姿だと思った。濁流は、もちろんその中に土の粒子を非常にたくさんふくんでいる。その土のかなりの部分は、畑地あるいは山肌から出てきたものである。