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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
倫敦では英国の上流の家庭に入って、「行儀作法、着物の着方、訪問の仕方等を習得するように努め、仕立屋も一流のを選んで服を注文した」。本も盛んに読み、主として小説特にスコットのものを耽読された。小説を読むのも「社交の際に話の種にもなり、また風俗人情を研究する上でも色々と教えられる所があるからだった」。『倫敦タイムス』は毎朝これを日課として読み、議会にも度々傍聴に行き、グラッドストーンとディスレーリの論戦に傾聴されたこともあったそうである。
二十歳の日本の一青年が、既に英語を身につけ、漢学の専門的素養をそなえ、英国紳士として『タイムス』を読み、グラッドストーンの演説に傾聴したのである。そしてその知的精神力は、九十歳の老齢に達するまで、少しも衰えを見せなかった。この人を保守と呼び、頑迷と罵って、狙撃したいわゆる青年将校たちとは、初めから人間がちがっていたのである。環境のちがいはもちろんあるが、そればかりではないように思われる。十一歳で米国へ渡ったのも、自分から父大久保卿にねだってのことであり、「日本の学問は何も出来ていない」と「自分でも気付いた」のは、十四歳の時であった。