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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

先日それが出てきたので」ということであった。コルクもぼろぼろになり、おりがすっかりたまっていたが、リスト時代のおりだと思って、有難く飲んだ。安倍さんは「正に醇の醇なるものですね」と大恐悦であった。

その時だったか、別の機会だったか忘れたが、安倍さんがすっかり御機嫌になって、葡萄酒の罎を捧げもって、峯子老夫人の前へ行って御酌をされた。「僕はフェミニストでありますから、一つ御酌をしましょう。今日はあなたも婦人と認めます」といわれた。牧野さんは「それは光栄だな」と珍しく大笑いをされ、一座大いにはしゃいだ。

この峯子夫人は、有名な三島通庸の次女であった。牧野さんは英国から帰られて、兵庫県の大書記官(今の副知事)をされていた時代に結婚されたのである。爾来牧野さんの全生涯は、淑徳聡明をもって有名なこの夫人に負うところが多かったということである。牧野さんは、宮中に関することは、滅多に話されなかったが、峯子夫人からは時々そういう話もきいた。

昭憲皇太后は、明治天皇の前では、決して座布団の上に坐られなかったようなつつましい心使いの方であったそうである。しかし非常にしっかりしておられて、いつか御縁側でおぐしをあげておられた時に、大きな蛇が一匹上ってきたことがあった。