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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
今東大の理学部長をしている茅教授が、その時はまだ北大の同僚だったが、これは大変なことをし出かしたといって、大騒ぎをした。それで早速、北大病院へ入院することになった。何でも茅君が内科の部長に「湯川さんを肺炎くらいで死なしたら、北大病院は一躍世界的に有名になりますよ」とおどかしたとかいう話があったが、真偽のほどは保証の限りでない。
ペニシリンのまだない時代であったが、この肺炎は無事治った。そして一月ほどして退院になったのであるが、今度は病院の先生の方が、茅君をおどかしたらしい。「肺炎の病後は、慎重を期する必要がある。二か月くらい静養をしてから、汽車に乗せた方がいい」ということになった。
そんな騒ぎをしているうちに、夏休みにかかった。ところが、その夏、私は前橋へ雷の観測に出かけることになっていた。それで丁度いいというので、私の家で、一月あまり留守番兼静養をして貰うことになった。湯川さんは、奥の六畳で、一月あまり神妙に静養をして、すっかり元気になって帰って行った。別れ際に、うちの細君が、画帖を出して、何か記念に書いて下さいといったらしい。そうしたら湯川さんが、少しあわて気味に「もうこっちまで知れてますか」