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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

日本の大学のこの頃のごたごたや、日本人の生活態度について、いろいろ話しているうちに、湯川さんが、少し改った調子でいい出したことがある。「御帰りになったら、何とかして、アメリカ人は決して贅沢をしていないということを、何かの機会に日本人に話して貰えませんか。アメリカ人は、決して贅沢をしませんね。あれはほんとうに感心なことですよ」というのである。

これは全くそのとおりで、今度アメリカを見て、一番感じたことは、その点である。二十年前のアメリカもそうであったが、再度の戦勝で世界唯一の繁栄国になっている現在のアメリカがやはりそうなのである。もっともかなり下級の労働者でも、例えば食物などは、日本の中流以上のものを食べている。しかし日本ならばたいへんな金持に相当する人でも、それより少し上等くらいの物で満足している。どんな贅沢でも出来る人が、決して必要以上の贅沢をしない点が、まことに感心なのである。

湯川さんがノーベル賞をもらって、一番得をしたのは、日本の国である。これはいわばまるもうけをしたのである。湯川さんも得をしたことはもちろんであるが、これには資本がかかっているばかりでなく、今後いろいろな負担がかかりそうである。