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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
生を意識して死を怖れないことと、生も死も意識しないこととは、比較の出来ないことなのである。それは質の違いであって、量の差ではない。もっともこれも独断であって、極めて簡単なものの考え方かもしれないが。ところでそういう風に考えると、この質の差が、何から生まれて来たかというのが、次ぎの問題になる。それを考えるには、宗教という言葉を広い意味で使わねばならないであろう。
人生のあらゆる問題は、経済的とか、社会的とか、道徳的とか、科学的とか、要するに何々的の観察で解決が出来る。というのは少し行き過ぎかも知れないが、何かの的で少なくも考えることは出来る。しかし解決はもちろんのこと、考えることすらも出来ないのは、死の問題である。死というのは、自意識の喪失である。この自意識の本体自身は、永久に分らないものであろう。それは原形質の生命とはちがったものである。現代の科学が明らかにし得るものは、人体を構成している細胞の死だけである。しかしそれだけでも明らかになれば、宗教の問題が大分はっきりして来る。例えば永生とか輪廻とかいうことは、細胞の衝動という意味、即ち五慾の慾求という意味では、有り得ないことになる。