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「もくせい」ごうのなぞ
中谷宇吉郎集 第六巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页
飼糧はもちろん牛飼の負担である。零下十五度くらいまで下る土地であるが、敷藁がうんとあり、牛もたくさんいるので、屋根のないところにおいても、大丈夫だそうである。牛飼は家賃を払わずに、春までに牛を肥らせて売って儲け、前田氏は数万貫の堆肥を無料で手に入れるのである。蔬菜の外に種子用のビール麦だけは作っているが、これは堆肥用の麦藁が欲しいからである。
もっとも誰でもこういう風に、巧くはゆかない。しかし堆肥はいくらでも買えるので、よくトラックで何十台分と買ってくるそうである。トラックはどの農家もみな持っているので、堆肥の入手は非常に楽だという。
ところで日本と唯一つ違うことは、前田氏は三百二十エーカー作っている点である。日本の反別にすると、百五十町歩近い面積である。これでは直接の参考にはならない。それで機械化の点では、アメリカ農業をそのまま真似ることはもちろん出来ない。一番参考になる点は「四年間毎年堆肥を入れれば、よい畑になりますよ」という精神である。畑は作るものという精神である。畑は作るものという考え方は、日本の篤農家の間では、何も珍しい話ではない。しかしその考え方が、アメリカの一部の農場では、初めから常識になっている点に、ちょっと驚いた次第である。