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「もくせい」ごうのなぞ

中谷宇吉郎集 第六巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第六巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「もく星」号の謎、温泉2、海底の散歩、吉右衛門と神鳴、国際雪氷委員会のことなど、古代東洋への郷愁、身辺雑記、長岡と寺田、八戒に遭った話、亡び行く国土、牧野伸顕伯の思い出、湯川秀樹さんのこと、露伴先生と神仙道、私のふるさと、私の履歴書、ケリイさんのこと、コロラド通信。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 130,784 字 · 269 页

青空文庫

それを幻夢ということは差しつかえない。しかしそれならば、原子爆弾もまた幻夢である。科学のいう真は、個人を滅却した場合にのみ、実と虚との差が出てくるのである。新聞で原子爆弾の爆裂写真を見る人にとっては、これは想を以て相を結んだものである。広島や長崎で死んだ人にとっても原子爆弾は幻夢であったにちがいない。その理由は死んだ人たちは、その後のことを永久に知ることが出来ないからである。

こういういわば普遍的な祀祭の法よりも、もっと面白いそして古代中国人に特有な得僊の術が、外にもいろいろある。その一つは歴臟の法である。歴臟の法というのは、目をつぶって坐禅のような姿をして、自分の身体の中の臟腑を、つぎつぎに思念し、その運行の勇健を祈る法である。いつも胃袋の吊り上ったような気色をして、年中空転している現代人には、あるいは推奨すべき霊法であるかもしれない。古代中国人も初めはそういう意味であったのかもしれないが、次第に内臓を一々神格化する傾向に陥り、その神の寵命が我が身に下るようにと祈念するようになった。各内臓の一々の神の名は伝わっていないが、脾臓の神を黄裳君と呼んだことは分っている。