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こじきがくせい
乞食学生
「若草」1940(昭和15)年7~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,682 字 · 68 页
ごめんね。留置場へ入れられた事なんかを君に言うと、君に嫌われると思ったんだ。僕は、だめなんだよ。葉山にも、いままでお世話になっているんだし、映画説明なんてばからしいとは思ったけれど、最後のお礼のつもりで、おとといの晩、大勢の女の子の前でやっちゃったんだよ。やっちゃってから、いけないと思った。もう僕は、だめになったと思った。見込みの無い男だと思った。僕にもビイルを一ぱい下さい。僕は、いまは嬉しいのだ。何だか、ぞくぞく嬉しいのだ。木村君、君は、偉い人だね。君みたいに、何も気取らないで、僕たちと一緒に、心配したり、しょげたりしてくれると、僕たちには、何だか勇気が出て来るのだ。こうしては居られないと思うんだ。勉強しようと、しんから思うようになるんだ。僕は、心の弱さを隠さない人を信頼する。」立ち上って、三つのコップになみなみとビイルを注いだ。決然たる態度であった。「乾杯だ! 熊本も立て。喜びのための一ぱいのビイルは罪悪で無い。悲しみ、苦悩を消すための杯は、恥じよ!」
「では、ほんの一ぱいだけ。」熊本君は、佐伯の急激に高揚した意気込みに圧倒され、しぶしぶ立って、「僕は事情をよく知らんのですからね、ほんのお附合いですよ。