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こじきがくせい

乞食学生

太宰 治

「若草」1940(昭和15)年7~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,682 字 · 68 页

青空文庫

「何も、そんなに卑下して見せなくたって、いいじゃないか。」と私を慰め諭すように言って、私の顔を覗き込み、「ごめんよ。君は知っているね。僕は、恥ずかしかったんだ。本当の事を、どうしても言えなかったんだ。でも、僕は嘘つきじゃない。たった一つだけ嘘を言ったんだ。映画の会は、おととい、やっちゃったんだ。僕は、説明しちゃったんだ。だから、僕は、おとといの夜、会が済んでから制服も靴も売り払って、街でビイルを飲んで、お巡りさんに見つかって、それから、――」

「わかってる。」私は顔を揚げて、佐伯の告白を払いのけるように片手を振った。「君に罪は無いんだ。みんな話の行きがかりだ。僕が、そそっかしいんだよ。君は、はじめから僕が渋谷へなど来るのをいやがっていたんだものね。」大きい溜息が出て、胸の中が、すっとした。

「うん、」佐伯は、恥ずかしそうに小さく首肯き、「言い直すひまが無かったんだよ。僕は、なんぼ何でも、映画の説明なんて、そんなだらし無い事を、やっちゃったとは、言えなかったんだよ。だから、ね、」と又もや、両手でテエブルの上を矢鱈に撫で廻しながら、「そこんところを、嘘ついちゃったんだよ。