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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
第二場
第二場
浅香居間
やや古代めいた装飾。小さな仏壇、お灯明があがっている。衣桁に着物が掛けてある。壁に三味線が二丁、一丁には袋がかけてある。火のともった行灯。鏡台と火鉢がある。川に面して欄干あり。
人物 かえで 浅香(遊女) 村萩(遊女) 墨野(遊女) 仲居
時 同じ日の宵
浅香、村萩、墨野、花合わせをしている。しばらく黙って札を引いている。
村萩 おやもみじ。気をつけないと浅香さんが青丹をしますよ。
墨野 ぬかりなくてよ。あとは菊ですね。
浅香 きっとできますわ。
村萩 そら、あやめ。三本が飛び込みになりましたよ。
墨野 うまくやってるね。
村萩 あといくらも札が残ってなくてよ。
浅香 (札を引く)そら菊。(ちょっと眉根を寄せる)あらいやだ。桐のがらだわ。
墨野 おあいにくさま。
村萩 (札を引く)そら菊。出た。
墨野 青はやぶれましたね。
浅香 くやしいわ。
村萩 (笑う)お気の毒様。
三人しばらく沈黙して札をめくる。
墨野 これでおしまい。
三人点を数える。仲居登場。
仲居 墨野さん。さっきからお座敷で呼んでいられますよ。
墨野 すぐに行きますよ。(村萩に)いま十か月ね。あと二か月ね。