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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
第四場
善鸞 わたしは何もわかりません。
勝信 お父上はたいそうそれを気にしていられます。きっとあなたにそれをおたずねなされます。
善鸞 わたしは何も信じられないのです。
勝信 信じるといってください。信じると。お父上のお心が安まるために。
善鸞 でもわたしは…………
勝信 この世を去る人の心に平和をあたえてあげてください。
善鸞 (不安そうに)えゝ。
僧三 (いそぎ門より登場)善鸞様はまだお見えなさいませぬか。
善鸞 ただ今到着つかまつりました。
僧三 一刻も早く奥院へ。皆様お待ちかねでございます。もはや御最後も迫りました。
退場。
善鸞、勝信門に馳せ入る。輿それにつづく。僧二人も退場。舞台一瞬間空虚。黒き鳥四、五羽庭の木立ちより飛びいで、月の前をかすめて怪しげなる声にて鳴きつつ、屋根の上を飛ぶ。舞台回る。
第四場
舞台、第二場に同じ。夜。仏壇にあかあかと灯明がともっている。行灯の灯影に弟子衆、帰依の武家、商人らつつしみ並びいる。親鸞の寝床のそばに医者侍して脈をとりいる。唯円は枕もとに近く侍して看護しつつおり。不安の予感一座を支配している。
親鸞 (目をつぶり、小さき声にて語る。