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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
第一幕
第一場
たしかなものがあることは疑われなくなりだした。私はたしかに何物かの力になだめられている。けれど恵みにさだめられているような気がする。それをうけとることが、すなわち福いであるように。行こう。(二、三歩前にあゆむ)向こうの空まで。私の魂が挙げられるまで。
――幕――
第一幕
人物 日野左衛門 四十歳
お兼(その妻) 三十六歳
松若(その息。出家して唯円)十一歳
親鸞 六十一歳
慈円(その弟子) 六十歳
良寛(その弟子) 二十七歳
第一場
日野左衛門屋敷。
座敷の中央に炉が切ってある。長押に槍、塀に鉄砲、笠、蓑など掛けてある。舞台の右にかたよって門がある。外はちょっとした広場があって通路に続いている。雪が深く積もって道のところだけ低くなっている。
お兼 (炉のそばで着物を縫うている)やっとここまでできた。あと四、五日もすればできあがるだろう。なにしろ早くしなくてはもうすぐお正月が来る。松若も来年は十二になるのだ。早く大きくなってくれなくては。ほんとに引き延ばしたいような気がする。