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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
もっと酔わなくては。(酒を杯に二、三杯続けて飲む)
お兼 そんな無茶に飲むのはおよしなさいな。(左衛門を心配そうに見つつちょっと沈黙)私はほんとに心細くなるわ。(戸の外をあらしの音が過ぎる)ひどい吹雪ですねえ。
左衛門は手酌でチビリチビリ飲んでいる。お兼は黙って考えている。松若は本を見ている。親鸞、慈円、良寛、舞台の右手より登場。墨染めの衣に、笈を負い草鞋をはき、杖をついている。笠の上には雪が積もっている。
慈円 たいへんな吹雪になりましたな。
良寛 だんだんひどくなるようでございます。
慈円 お師匠様。あなたはたいそうお疲れのように見えますな。
良寛 おん衣の袖はしみて氷のように冷とうなりました。
親鸞 もう日も暮れてだいぶになるな。
慈円 雪で道もふさがってしまいました。
良寛 私はもう歩く力がございません。
親鸞 ではこのあたりで泊めてもらおうかな。
慈円 この家で一夜の宿を乞うてみましょう。
良寛 ほかの家も見あたりませんね。(戸口に行き戸をたたく)もし、もし。
松若 (耳を澄ます)とうさん。だれか戸をたたくよ。
お兼 風の音だろう。
左衛門 この吹雪に外に出るものは無いからな。