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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
さっきからわしがあれほど言うのがわからないのかい。少しは腹を立てい。この偽善者め。面の皮の厚い――
お兼 左衛門殿、左衛門殿。
左衛門 (親鸞に)早く出て行け。この乞食坊主め。(親鸞を押す)
慈円 あまりと言えば失礼な――
良寛 お師匠様に手を掛けたな。
左衛門 早く出て行け。(良寛をこづく)
良寛 なにを。(杖を握る)
左衛門 打つ気か。(親鸞の杖を取って振りあげる)
親鸞 良寛。手荒な事はなりませぬぞ。
親鸞二人の中に割って入る。左衛門親鸞を打つ。杖は笈にあたる。
慈円 お師匠様早くお出あそばせ。(左衛門をさえぎる)
松若 おとうさん。おとうさん。(うろうろする)
お兼 (まっさおになる)左衛門殿、左衛門殿。(後ろから左衛門を抱き止める)
左衛門 放せ。ぶちなぐってやるのだ。
親鸞、慈円、良寛、戸の外に出る。左衛門杖を投げる。杖は雪の上に落ちる。
松若 おとうさん。おとうさん。(左衛門にしがみついて泣く)
お兼 (外に飛んで出る。おどおどして親鸞をさする)痛かったでしょう。許してください。私どうしましょう。おけがはありませぬか。
親鸞 大事ありません。托鉢をして歩けばこのような事は時々あることです。