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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
第二場
お兼 どうぞ私の夫を呪ってやってくださいますな。(泣く)悪いやつでもゆるしてやってくださいまし。
親鸞 心配なさるな。私はむしろあの人は純な人だと思っていますのじゃ。
慈円 あまりひど過ぎると思います。
良寛 (涙ぐむ)お師匠様。私はなさけなくなってしまいました。
――黒幕――
第二場
舞台一場と同じ。夜中。家の内には左衛門、お兼、松若三人枕を並べて寝ている。戸の外には親鸞石を枕にして寝ている。良寛、慈円雪の上にて語りいる。
慈円 夜がふけて来ましたな。
良寛 風は落ちましたけれど、よけいに冷たくなりました。
慈円 足の先がちぎれるような気がします。(間)お師匠様はおやすみでございますか。
良寛 さっきまで念仏を唱えていられましたが、疲れて寝入りあそばしたと見えます。
慈円 すやすやと眠っていられますな。
良寛 お寝顔の尊い事を御覧なさいませ。
慈円 生きた仏様とはお師匠様のようなかたの事でしょうねえ。
良寛 私はおいとしくてなりません。(親鸞の顔に雪がかかるのを自分の衣で蔽うようにする)
慈円 なかなかの御苦労ではございませんね。
良寛 私は若いからよろしいけれど、お師匠様やあなたはさぞつろうございましょう。