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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页
おからだにさわらなければようございますが。(親鸞のからだに手を触れて)まるでしみるように冷たくなっていられます。
慈円 この屋の家内は炉のそばで温かく休んでいるのでしょうね。
良寛 主人はあまりひど過ぎますね。酒の上とは言いながら。
慈円 縁の先ぐらいは貸してくれてもよさそうなものですにね。
良寛 私は行脚してもこのような目にあったのは初めてです。
慈円 お師匠様を打つなんてね。
良寛 私はあの時ばかりは腹が立ってこらえかねましたよ。お師匠様がお止めなさらぬなら打ちのめしてやろうと思いました。
慈円 あの手が腐らずにはいますまい。(間)お師匠様の忍耐強いのには感心いたします。私は越路の雪深い山道をお供をして長らく行脚いたしましたが、それはそれはさまざまの難儀に出会いました。飢え死にしかけた事もありますし、山中で盗賊に襲われたこともありますよ。親知らず、子知らずの険所を越える時などは、岩かどでお足をおけがなされて、足袋はあかく血がにじみましてな。
良寛 京にいられた時には草鞋など召した事はなかったのでしょうからね。
慈円 いつもお駕籠でしたよ。おおぜいのお弟子がお供に付きましてね。