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しゅっけとそのでし

出家とその弟子

倉田 百三

「生命の川 第一巻第二号~第二巻第二号」1916(大正5)年11月16日~1917(大正6)年3月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 121,812 字 · 248 页

青空文庫

丁稚二人登場。角帯をしめ、前だれをあて、白足袋をはいている。印のはいったつづらを載せた車を一人がひき、一人が押している。

丁稚一 もっとゆっくり行こうよ。

丁稚二 でもおそくなるとまたしかられるよ。

丁稚一 私はくたびれたよ。

丁稚二 またゆうべのように居眠りするとやられるよ。

丁稚一 でも眠くてねむくてしょうがなかったのだよ。

丁稚二 ずいぶん暑いね。(手で汗をふく)

丁稚一 そんなに草履をパタパタさせな。

丁稚二 たくさんな人だね。

丁稚一 皆お寺参りだよ。

丁稚二 見せ物の看板でも見て行こうか。

丁稚一 (ちょっと誘惑を感じたらしく立ち止まる)でもおそくなるとしかられるから早く行こうよ。(退場)

親鸞 世のさまざまな相が見られるな。私は昔から通行人を見ているとさびしい気がしてな。

唯円 私もさっきからそのような気がしていたのです。

親鸞 ここでしばらくやすんで行こうか。

唯円 それがよろしゅうございます。(座ぶとんを持って来て敷く)きょうはよく晴れて比叡山があのようにはっきりと見えます。

親鸞 (すわる)あの山には今もたくさんな修行者がいるのだがな。

唯円 あなたも昔あの山に長くいらしたのですね。