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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

「聞いたか」

「はい」

「御国元ではお待ちじゃによって、妾にかまわず、先に行ってたもらぬか」

「でも――」

七瀬は、黙って又蔵を睨みつけた。

兵頭が

「判ったなら、急ごうでないか」

「いや、江戸の気配も、ほぼ、判り申した。忝のう存じます。道中御健固に」

と、いって、池上が立上った。

「もし、名越様にお逢いの節は、よろしくお伝え下されませ」

「して、仙波殿は」

「江戸におりましょうか、それとも、その辺まで、参っておりましょうか」

「その辺まで?」

と、池上がいった時、もう、兵頭は、馬の頸を叩いていた。

「では、御免、もし、仙波殿に、途中で逢ったなら――」

池上は、歩き歩き振向いていった。

「無事とお伝え下さりませ」

三人は、池上の馬に乗るのを見送った。

「御免」

二人は、編笠をきて、すぐ、馬をすすめた。三人は、御辞儀して、座に戻ると、暫く黙っていたが

「又蔵、御苦労ながら、一足先へ立ってたもれ。大事の手紙じゃで、一刻も急ぐから」

「はい――然し、お二人では――」

「今、聞いたであろう。牧が、上方へ、参っておると――このことを、夫に知らせて、一手柄させて上げたいが、今から江戸へ戻れるものでなし、ここで、こうしていて、夫と、小太郎に逢うて、牧の行方を告げましょう。