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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

お互に、最初の真剣勝負に対して、固くなっていた。懸声もなかった。刀尖が二尺程のところまで近づくと、お互に動きもしなかった。

一木は、両手で、刀を持つと、刀尖を地につけた。示現流の使手として、斬るか、斬られるか、一挙に、勝負を決しようとする手であった――果して

「やっ、やっ、やっ」

一木は、つづけざまに叫ぶと、刀尖で、地をたたきつけるように、斬り刻むように、両手で、烈しく振って

「ええいっ」

山の空気を引裂いて、忽ち大上段に、振りかざすと、身体ぐるみ、奈良崎へ、躍りかかった。

一木の攻撃は、獰猛の極であった。それは、躍りかかって来る手負獅子であった。後方へか、横へか――避けて、その勢いを挫く外に方法がなかった。

もし、受けたなら?――それは、刀を折られるか、受けきれずに、どっかを斬られるか、それだけであった。

だが、たった一つ、相打になる手はあった。一木の、決死の斬込みに対して、斬らしておいて、突くという手である。諸手突に、一木の胸へ、こっちからも、必死の突撃を加えることである。

然し、それも、冒険だった。もし、一分、一秒、奈良崎の刀が、遅れたなら、自分だけが真向から二つに斬られなくてはならなかった。