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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
二人は、益満の肚がわかった。
「駕屋、済まんのう」
「いいえ」
「さあ、お嬢様、手前、そこまで背負って参りましょう」
「いいえ」
益満は、背を出した。綱手は、赤くなった。益満の、着物から、頸筋から臭う、汗と、体臭とが好もしく、綱手に感じられた。だが、綱手は
「歩きます」
と、いった。然し、益満が、綱手の腰へ、後ろ手に手をかけて、引寄せると、よろめいて、もたれかかった。そして、一寸、身体を反らしたが、そのまま、背へのせられると、思わず、手を、益満の肩へかけて、胸を、脚を、益満の身体へ押しつけた。そして、真赤になった。
「いいえ、歩きます」
綱手は、足を開くのが恥かしかった。だが、離れるのも厭であった。このまま、じっと抱きしめて欲しかった。綱手は、自分の暖かみと、益満の暖かみとが一つに融け合うのを感じると、すぐ、次の瞬間、二人の肌も融け合い、二人の血が一つになって、流れているような気がした。
(誰も居なければ、よいのに――)
と、思った。だが、すぐ、右手で益満の肩を押して
「歩けます」
と、強くいった。
「では――」
益満は、曲げていた身体を延し、綱手の腰から手を放した。