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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
益満が、三尺余りの長刀を撫して、柱に凭れて腕組しながら、こう云って笑っているのを見ると、七瀬も、綱手も、何んとなく、心丈夫であり、頼もしく思えた。綱手は
(益満様なら、夫にでも――)
と、心の中で囁きながら、さっき山の中で、生れて初めて、ぴったり、肉に、肌に、血に触れ合った男の暖かさを思い出した。そして、益満を、そっと盗み見した。
「討手は、小太郎に、もう追いつく時分でござりましょうか」
「追いつくかもしれぬ。追いつけぬかもしれぬ。然し、何れにもせよ、小太も、相当に、心得はある。やみやみ、五人、七人を対手にして、斬られる奴でもない。それに、こつこつ石の如き親爺がついておる。これが、一見頑固無双に見えていて、なかなか変通なところがある。本街道を避けて、裏を行けば、大井川までは、首尾よく参ろう。ここを無事に通れば、京までは、先ず無事――」
こういっている時、旅舎の番頭が
「明日、早朝お立ちでございましょうか。御弁当の御用意、それから、関所切手――なかなか、きびしゅうござりますゆえ、もし、御都合で、お持ちがなければ、手前共で、何んとか御便宜を――」
といって来た。