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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
床へ横たえられた玄白斎は、そのまま眼を閉じてしまっていた。ただ、呼吸だけは微かに通っていたので、家人、弟子達は、枕頭、次の間に詰め切っていた。
「危いか」
と、医者に聞くと
「何処と云って――これと云って悪いところもないが、衰弱が烈しい」
医者は、首を傾けた。市助が
「あまりに、御気力を、お使いすぎになったのだろう。実は――」
と、呪法のことを話すと
「そうかな、成る程」
医者は、玄白斎の顔を、じっと眺めていたが
「御城内なり、御親族なりへは、知らせた方がよいの。ただの衰弱ではない。お齢が、お齢ゆえ」
玄白斎の白い髯は、いつの間にか、光沢を失っていたし、眼の縁に、薄黒い影が滲み出し、頬の艶が無くなり、咽喉仏の骨が、とげとげしく突き出していた。
「保つまいか」
「さあ――」
仁十郎と、医者とが、こう云った途端
「うーむ」
玄白斎の頬に、血の色が差して、眼を開いた。然し、その眼には、もう生気が無くなっていた。玄白斎は、じっと、その疲れた眼で、天井を眺めていたが、仁十郎の方へ一寸、眼を動かして
「刀を――」
と、云った。
「はい」
仁十郎は、何故、刀を持てと云ったのか判らなかったので、返事をしたまま、立たなかった。