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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

「覚えていろ、益満」

益満が、振向いて

「ひゅっ、ひゅっ、ひゅじゃ」

と、笑いながら、尻を振った。そして

「命冥加な大工め。戻れ。又、機があれば、深雪にも逢えよう。深雪は、お前に、惚れたと申しておるぞ。その内、女から押しかけて参る程に、楽しみにして待っておれ」

そう云い終ると、すぐ、駕のあとから、走って行った。

「深雪っ、覚えていろ」

小藤次が、怒鳴った。そして、真赤な顔をして、脣を噛みながら、じっと、駕の小さくなって行くのを睨みつけていた。

駕は、原を出て、街へ入った。と同時に、軒下から、庄吉が出て来て

「うめえ工合に行きましたな」

深雪は、駕の中から、庄吉を、すかして見た。

「危うがすよ、師匠んとこは」

南玉の住居の長屋へ入って行く益満の後方から、庄吉が囁いた。

「この長屋は、義理が堅い。それに、燈台下暗しの譬で、一晩や、二晩は、却ってよい」

益満は、そういいながら、南玉の表を通りすぎて、長屋の突当りの右側まで、駕を入れさせた。

「ここが、隠れ家でのう」

駕から出た深雪が、益満が開けた戸口から入ると、薄暗い、空家のような何一つ調度とても無い家であった。

「寒い寒い。