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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页
小太郎は、心から嬉しそうであった。
「脚は、少し不自由じゃが、剣は、真剣に場馴れて、人には譲らぬぞ」
綱手は、月丸が、小太郎の腕前のことを、いつか聞いていたことを思い出した。そして、何かしら、二人の間に果合でも始まるように感じた。
「何んとしても、江戸の方へ?――国許へ戻って、同志の方なり、母上なりに――」
「それは、牧を討ってからでよい」
小太郎の江戸へ戻る決心は、変らなかった。綱手は、これが、兄との一生の見納めだと思った。せめて、兄の、嬉しそうな顔を、心に残しておきたいと、じっと、顔を眺めていた。
「何を見ておる。少し、痩せたであろうが」
と、小太郎は、頬を撫でて、微笑した。綱手は、抱きしめられて、思いきり泣いてみたかった。
斉興、国許への旅中、大阪へ立寄る、日取は――と、江戸から知らせて来たので、大阪蔵屋敷は多忙であった。
塀、壁の修繕、植木の手入れ、調度、器具類の掃除、掛物、什器類の下調べ、邸の中も、蔵の中も、庭も、門の外も、廊下も、人影と、足音とが、動いていた。
中島兵太夫は、障子を開け放して、植木人足の入っている庭を眺めながら、廊下に立っていた。