轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わし

和紙

東野辺 薫

「東北文學」1943(昭和18)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,557 字 · 70 页

青空文庫

粗皮除をした白皮を、一度水に洗って「白楮」としたものを、ソーダ灰で煮るのが「楮煮」である。さしわたし二尺五寸の、水が四肩、手桶で八つと言えば約一石は入る大釜で、五十把の白楮を一本一本ほぐして投げ入れ、よく煮立った頃を見てソーダ灰を調加する。一釜を煮上げるのに四時間前後を要した。燃料としては細い柴木を用いるので、これも普通作業であったが、煮方には相当のコツもあり、大ていは漉き方の現役を退いた老人の受持とされていた。

「実はなお母さ、お母さに嘘言をついてすまなかったげんと、今日俺が八軒町さ出たのは大事なわけがあったでなん。」

「ふ、おなご(女子)にでも会って来たのかや。」

味噌湯の茶碗をさし出しながら、母のおときはいつものとぼけた調子であった。

「んだぞいお母さ、ほんとにお母さの言う通りだで……んでも俺の女子でねえ、惣の女子だ。」

「なにや?」

果して母は調子のはずれたこえを上げた。これもびっくりしたらしい父の茶碗が揺れて、ちぷちぷと小さな灰かぐらを立てた。

「何てたって……腹にはァややこ(嬰児)が出来てるでなん。」

一瞬の躊躇を越えて思い切って口にしたが、呼吸を呑んだ両親の驚愕をまともに見ることは出来なかった。