轻松读懂日语经典作品
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ぜんこんどんこん
善根鈍根
佐々木 邦
「オール読物」文藝春秋社、1935(昭和10)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,638 字 · 28 页
主人には主人の権能もあれば屈託もあるのだと、藤浪君、自ら励して、白い歯を見せないことにした。或晩、稍※(二の字点、1-2-22)晩く社から帰って来たら、書斎の机の上に婦人雑誌が置いてあった。「倦怠期善処号」というのだった。表紙を見た丈けで気に留めなかったが、お茶を飲んで少時話してから寝ようとしたら、枕の上に又その「倦怠期善処号」が載せてあった。
「何だい? これは」
「読んで戴きます」
「ふうむ」
藤浪君は寝つくまで読書する癖があるから、素直に披見し始めた。貞江さんは火鉢の側に坐っていた。いつまでも寝ないと思って、首を伸して見たら、泣いているのだった。
「おい。貞江。何うした?」
「…………」
「何を泣いている?」
「…………」
「寝たら宜いだろう。馬鹿だな」
「何うせ私は馬鹿でございますよ」
「変だね、些っと」
「あなたは余りでございますよ」
「何故?」
「余りじゃございませんか?」
「次第を言って御覧。此方へ来て」
貞江夫人は茶の間から客間兼寝室へ移って、藤浪君の枕許に坐った。
「私、あなたのお心持がよく分りました。一つ年上の人が好きと仰有った意味が分りました」
「そんな詰まらないことを言うものじゃないよ」