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ぜんこんどんこん

善根鈍根

佐々木 邦

「オール読物」文藝春秋社、1935(昭和10)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,638 字 · 28 页

青空文庫

五

しかし入社して二三年になっているから、藤浪君や小西君に取っては先輩だ。去年も今年も婦人記者は採用しなかったと聞いている。

「射落し給え」

「しかし先輩だよ、三谷さんにしても梶原さんにしても。先輩を射落すってことは穏かでない」

「それじゃ矢っ張り射落して貰うより外仕方がない」

「胸に的でも下げて置こうか?」

「本当に先輩かも知れないよ、あの二人は」

「無論先輩さ。先に入っているんだから」

「いや、年がさ。此方よりも一つ二つ上かも知れない」

「一つぐらいなら辛抱する」

「熱心だね」

「ハッハヽヽ」

「怪しいぞ、此奴」

と小西君は藤浪君の膝を叩いた。藤浪君は傾きかけた液体を零した。酒の方も昨今修業している。小西君が指導係だ。小西君は元来積極的性格が著しい。射落しの話は相手の気を引いて見たのである。親しい藤浪君が梶原さんに狙いをつけていなかったので安心した。梶原さんを射落す積りだった。

五

藤浪君は初めて三谷さんを見かけた時から、何処となく貞代さんに似た人だと思った。それで、特別に興味を持っていた。そこへ射落し自由と聞かされたのである。三谷さんが益※(二の字点、1-2-22)綺麗に見え始めた。