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よじげんひょうりゅう

四次元漂流

海野 十三

「子供の科学」1946(昭和21)年3月~1947(昭和22)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,363 字 · 128 页

青空文庫

これで方針が一応おさまるところへおさまったようである。その証拠には、隣組の人たちはもう誰も発言せず、夕暗の迫る中にじっと塑像のように立ちつくしていた。

が、そのときであった。突然、金切り声が一同の鼓膜をつんざいた。女の声らしい。その声の起ったのは、どうやら木見さんの家の中のように思われた。一同ははっとおどろいて互いの顔を見合わせた。

「あ、あれはうちの家内の声のようだ」

武平はそういってかけだした。

「ああ、木見さんの奥さんの声……」

「さあ、皆いってみましょう」

一同は武平のあとを追い、庭をぐるっと廻って、木見邸の表座敷の方へかけだした。

かけつけてみると、それは果して雪子の母親の発した叫び声だとわかった。

「何を見たって、やっぱり雪子の幽霊かッ」

武平は、座敷へ飛び上って、夫人をかかえ起しながら、息せき切ってきいている。

「わたしは、お父さんが外から家へ上って廊下を歩いていなさるのだと思っていたんです。でも、何だか変だから、立っていって廊下の方をすかして見たんですの。廊下はうすぐらくて、よく見分けがつかなかったんですけれど、たしかに黒い人影が向うへ動いていきます。