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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
そこで私は扉を開いて中に入りましてございます。すると旦那様は、あそこの洗面器のあるところのカーテンを分けてこっちへ出ていらっしゃいました。……それから私は、あの小卓子の上に、盆の上に載せてきたものをいつものように並べたのでございます。その間に旦那様は、窓の方へいらっしゃいまして、両手をうしろに組み、なんだか考え事をなさっている様子で、窓のこっちを往ったり来たりなさっていました。それは私がこの部屋を退りますときまで続いていました」
検事は、そのとき家政婦の言葉が切れるのを待っていたように声をかけた。
「そのとき、この窓は明いていたかどうか、君ははっきり憶えているかしら」
「窓は両方とも、ぴったり閉って居りましてございます」
「じゃあカーテンはどうだろう。今のカーテンの位置と、どこか違っているかね」
窓は二つあった。現在右の窓のカーテンも左の窓のそれも共にいっぱいに開かれていた。
「カーテンは両方とも閉って居りましたのですが……」
家政婦がそういったとき大寺警部の大きな声がした。一人の警官が右の窓へとんでいってカーテンを閉めた。警部は左のカーテンを自らの手で閉めた。