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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
真正直にいって貰うことを歓迎するんです。誘導訊問だとか、今のような訊き方は断然やめて下さい」
そういった亀之介の態度には、兄亡き後の今、この邸の主権者は自分だぞという気配が匂うようでもあった。――帆村は、新しい煙草の箱をポケットから出して口をあけた。
「そう気になさることはないと思うんだが……」と長谷戸検事は相変らず冷静そのものという顔でいった。「じゃあ、こう伺いますか。確かにあなたはその日の夕刻から翌日の午前一時半までクラブから一歩も外に出られなかったんですか」
「そうです。そういう工合に訊いて下さい。――答は、然りです」
「被害者――あなたの御実兄は何故殺されたか、その原因についてお心当りはありませんか」
検事はずんずん核心に触れた訊問を進めた。
「さあ、はっきりとは知りませんね」
「はっきりでない程度では何か思い当ることがありますか」
「さあそのことだが……」といいかけて亀之介は消えかかった葉巻を口に啣えて何回もすぱすぱやり、やがて多量の紫煙をそのあたりにまきちらした果に「弟である私の口からいうのは厭なことなんだが、兄貴と来たら昔からだらしがないんでしてね。