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おんなはおなじものがたり

女は同じ物語

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1955(昭和30)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,279 字 · 44 页

青空文庫

六

流儀はなんだ。江戸邸へ抜刀流の師範が来るので、三年ばかりやったよ。なるほど、いまのは居合か、いや、あれは見て覚えたんだ、と広一郎は云った。江戸にいたとき寛永寺へ参詣した、その途中で、浪人と浪人の喧嘩があったが、片方が抜き打ちに相手の胴をはらった、すると袴の紐と帯が切れてずり下り、相手は動けなくなった、おれはそのまねをしただけさ、と広一郎は云った。なるほどね、と三郎助は云った。江戸にいるといろいろな学問をするものだ。

「だが、それにしても」と三郎助が云った、「どうしてまた茗荷屋の娘などのために、こんなおせっかいなことをしたのかね」

「うん」広一郎は顔をそむけた、「その娘が三月から、おれの、……家の小間使に来ている。母の気にいりで、おれはよく知らないが、――母に頼まれたんだ」

「毎月一分ずつの呑み代もか」

六

広一郎はますます顔をそむけた。さもなければ、当惑して赤くなったところを、三郎助に見られるからであった。

「佐野にしたって、――」と広一郎は云った、「呑み代があればばかなことはしないさ」

「どうだかな」

「ここで別れよう」と広一郎が云った、「わざわざ済まなかった」