轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

おんなはおなじものがたり

女は同じ物語

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1955(昭和30)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,279 字 · 44 页

青空文庫

しかし眼をそらしたとたんに、ひょいと天床を見あげ、その唇を尖らせた。

――明日はあなたも非番だ。

あなたも、の「も」という一字に、彼女の暗示があったのだ。つまり、二人はどこかへいっしょにゆける、ゆくことができる、という意味にちがいない。彼は振向いて紀伊を見た。

「紀伊は赤根の湯を知っているか」

「はい、存じております」

「うん」と広一郎は口ごもった。どうきりだしたらいいかわからない、そんなことを云うのは不作法かもしれないし、断わられるかもしれない、「うん、――」と彼は云った、「あそこは閑静でいい、温泉も澄んでいるし、大きな宿も五、六軒あるし」

「そうでございますね」と紀伊が云った、「それに御領分の外ですから、あまり知った人にも会いませんわ」

「そうだ、赤根は松平領だ」

「まだ紅葉がみられますわね」と紀伊が云った、「わたくしゆきとうございますわ」

「私もいってみたいな」

紀伊は待った。広一郎の胸はどきんとなったが、どうにも勇気が出てこない。彼は赤くなって、急にそっぽを向きながら云った。

「私は明日いってみる」

紀伊は彼を見た。

「私は、――」と彼は不決断に続けた、「私は、東風楼という宿で、半日、保養して来よう」