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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
彼らはどんな場合でも決して絶望をしないのだ。明日のメシに困っていても、朗らかに歌などうたっている。――そして私などの、なんと絶望的気分の好きなことよ。)
「ドサ貫に、昨日会ったですよ」私が言うと、
「ドサ貫と組もうと思っとるんですがね」
「ほう」
「ミーちゃんが、ところが、いけないと抑めているらしいんで、奴は但馬さんのところへ、どうしたもんかと、――つまりお伺いですな。但馬大明神に手紙でお伺いを立てているらしいですよ」
「なぜとめるんです。身体が悪いから……」
「いいや、――(末弘は、細君のいる台所にチラと横眼をやって、小声で)おちるからというわけですよ。人間、一度落ちたら、もう浮び上れない、ミーちゃんはそう言うんですな。たしかに、それはそうですがね」
末弘春吉は以前、「愉快な四人」の一人の瓶口黒須兵衛と同格で、と言っても大部屋だが、とあるレヴィウ劇団にいたことがある。それが、瓶口は(以前瓶口という芸名ではなかった。)今はエンコで一流の芸人になり、末弘は落ちて、――「惚太郎」の二階の二畳間に屏息している。その末弘の言葉は、だから実感がこめられたものに違いなかったが、その朗らかな声には一向にそんな感じはなかった。