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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

――さよう、こうした私の書き振りは、その人々を見た時の私の眼に蔑みと反感が浮んでいたかのように、読者に伝えるかもしれないが、事実はまさに反対なのである。私の眼には、――その人々を見るとたちまち私のうちに湧き上ってきた、なんとも言えない親愛の情、なごやかな心の休い、それらのもたらした感動がありありと光っていたに違いないのである。

その感動に背後から衝かれるようにして、私は、火鉢の前にとても割り込めないとわかっていながら、部屋に上って行った。すると、火鉢をギッシリ取り巻いたその佗しい一団の一人の、女持ちみたいな人絹のマフラを首に巻いた、脾弱そうな身体つきをした、ちょっと二枚目の顔をした若者が、私を上目越しに見て、

「――すみません」

と言った。「すぐ空きますから、――すみません」

細い胸を縮めてお辞儀をするその恰好は人のいい感じの慇懃さを通り越していかにも卑屈な哀しいものだったが、その声も哀しく卑屈だった。

「どうぞ、ごゆっくり」

私も、――こうすれば何かいたいたしい相手の心を傷つけないですむ、負けない卑屈さになるだろうと努めた声でそう言い、またそのように努めた物腰で、部屋の隅に坐った。