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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
若者は滅茶滅茶にソースをぶっかけた「牛てん」をおかずにして、メシを食っていた。血みたいに生々しく赤いその薄い唇は、私の眼にそれが何やら年若い彼を蝕んでいる薄幸の暗示のように映り、胸に病いでも秘めているのではないかと、ふとそんなことを私に想像させるのだったが、そうした口のなかへ、若者はヤケに白い飯を押し込んでいた。ガツガツと食う形の癖に、不味そうな、食欲がないので、無理やり食っているといった感じを一方で出していた。たちまち茶碗を空にすると、
「ミーちゃん。すンません」
台所にそう声をかけて、茶碗を頭上に掲げた。
ミーちゃんと呼ばれた、緑色の洋服をきた若い女が、指にからんだ黄色い支那蕎麦をうるさそうに取りながら、台所から早速飛んで来た。私は、このミーちゃんなる女性とは顔なじみであった。
私を見て、ピョコンと男のような乱暴さでお辞儀をすると、
「――転手古舞いだわ」
と、怒ったみたいに言った。
「大変だね」と私が言うのと、「すまないなア」と若者が、女のようなしなやかな細い手で茶碗を渡しながら、そう言うのと同時だった。するとミーちゃんが「そう、すまない、すまない、言うのよしなさいよ」