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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
の女給に会って、
「今日は。――この間は」
とあいさつされた。
「シャンですね。女優かなんかですか」重苦しい空気を払いのけようとするように、喫茶店のバーテンダーが言った。
「広養軒の女給さんさ」
「ああ、あの角の。あすこは古いカフェーですね」うしろを振り返って「カフェーの女給か。綺麗な女だな。女給には見えないな」
「この間まで女優さんだったのだ」
「なアるほど」
バーテン君は感心したようにうなずいて、(その首には瘰癧かなんかの傷痕があった。)
「あすこはムーラン・ルージュの人がやっているんですってね。――倉橋さんは、あのカフェーのおなじみで?」
「いや、一度行ったきり、この間初めて」
女給さんに愛想よくあいさつされたりして、いかにもおなじみさんのようだが、その時私がびっくりしたような照れたような顔をした、その顔を見れば、私の言葉がうそでないことがわかる。私は、とある知人に誘われて、それまでその名、評判は知っていたが、ついぞ入ってみたことのない、入ってみたいという誘惑も感じたことのないその店へ、数日前に初めて行っただけである。その知人というのは、今はいないが「お絹さん」