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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

第十一回 再び現実の攻撃について

それはゴロちゃんから聞いた鮎子の行状への、感嘆に近い驚きであった。上海で男をつくったというのは、いかにも鮎子が支那へ行っても内地にいた時と同じ自分を押し通している感じで、――鮎子の一種の逞しさにはかねて私も舌を巻いていたが、いまさらながらその図太さに驚かされたのだった。

第十一回 再び現実の攻撃について

話をもとに戻して、――私はドサ貫から、鮎子が大屋五郎を美佐子の妹からさらって行ったようなまねをするなと言われたが、――それは美佐子に対して邪恋をしかけるなという意味に違いないのだが、私にはとんと解せぬ言葉であった。だが三の酉に私は美佐子と徹夜で遊んだ。それを何かドサ貫が誤解しているらしいということだけはわかった。

とんでもない誤解であると私は言った。言うのもあほらしいくらいであった。

「誤解?」ドサ貫が三方白の眼を私に注ぐのに、

「うん」

私は大きく首を振ったが、ドサ貫は何も言わず、首を小刻みにうなずかせた。承認のうなずきではなく、そうして私の言葉を吟味している風なのに私は心穏やかでなく「大屋五郎といえば、君、――今度ゴロちゃんは可哀そうにはっきりと鮎子に振られてね……」