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いかなるほしのもとに

如何なる星の下に

高見 順

「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页

青空文庫

話をはぐらかすように言ったが、ドサ貫は依然何も言わなかった。その無言の圧迫から逃れるため、つづけて私は、

「ゴロちゃんは、そいで、――ゴロちゃんに、こないだ会ったのだが、どうも少し変なんだ」

「変?」ドサ貫はやっと口を開いた。

「うん、なんか、こういかれたような、頭の調子が変みたいな……」

喫茶店「ハトヤ」の前に来ていた。入ろうかと、ドサ貫とバーテンダーのどちらへともなく言って暖簾から覗くと、満員であった。ここはいつだって満員でない時はないが、客の多くは六区の小屋の人々で、それが一杯五銭のコーヒーでほっと一息ついているのや、ホット・ドッグの腸詰の代りにカレー・ライスのカレーを入れたカレー・ドッグというのを頬ばっているので、狭い店のなかはいっぱいである。

やめて、歩き出したが、公園劇場の前へくると、

「では、ここで……」

とバーテンダーが、たぬき横町の方へ手をやって、

「ちょっと寄ってくところがありますので」

私を一人残して行くのが気がかりだがといった顔だった。

――ドサ貫と二人になった。

――三の酉は十一月二十五日であった。(一日が一の酉で、十三日が二の酉で、――)二十四日の晩に私は「惚太郎」