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いかなるほしのもとに
如何なる星の下に
高見 順
「文藝」1939(昭和14)年1月号~1940(昭和15)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,508 字 · 236 页
沈黙が来た。鉄板の上で酒を注していたので、時々酒が熱した鉄の上にこぼれ、ジジと焦燥的な音を立てた。重苦しい空気である。それを払いのけるように、
「そうか、わかった」
私は精一杯ひょうきんな声にして、
「あんたは、その旦那さんと一緒になったので、舞台をやめたんだね」
言ってから、あまり気のきいた科白でもないと気づいた。ううんと彼女は首を横に振った。
「結婚と舞台とは違うわ。どっちも大事。――そりゃ、結婚してやめる人もあるけど」
そう言うと彼女は急に酒が回ったみたいに、とみに饒舌になって、彼女が舞台をやめた理由を話し出した。その話し方は、話の後の方に回した方がいい話を前に話したり、前に話した方が話がはっきりする部分を後にしたりして、メチャメチャであったから、一応秩序立てて述べると、――公園のレヴィウ劇場は大概出しものが芝居と踊りの二つに別れている。そして「幹部さん」というのは主として芝居をやって、――言い換えると芝居の方の役者が幹部の地位を独占していて、踊りの方は主として大部屋である。ダンシング・チームの彼女たちは、何年小屋にいても、舞台で踊っているかぎりは、つまり芝居の方に転向しないで踊り専門である以上は出世の見込みのない万年大部屋で、幹部に浮び上れないという。