轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

「朝日新聞 夕刊」1962(昭和37)年4月1日~10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 页

青空文庫

門は総檜の冠木門にきまり、塀は大谷石。洋館は階上階下とも冷暖房装置にし、日本間のほうは数寄屋造り。庭はいちめんの芝生であるが、これはイギリスからエバー・グリーンを取りよせる。約二千平方メートルの庭の、西側三分の一はくぬぎ林にし、あいだに杉の若木を配するが、花の咲く木はいっさい入れないことにした。

以上は父と子とで、念入りに、繰り返し検討し、試案が出され、欠点が補われた結果であり、ほぼ満足すべきものとなったのだ。かれらにはその邸宅の外観が、現実に存在するもののように、どの角度からも、いかなる細部をも、即座に指摘し、説明することができるようになった。

「いよいよ家具を入れる段になったな」子供といっしょに街をあるきながら、父親は慎重な口ぶりで云うのだ、「洋館のほうはさ、おれはスコットランドふうにしたいんだがね、こう、――」と彼は手でなにかの形を空に描いてみせる、「どっしりと厚いオーク材を使ってさ、すべてハイ・ランド地方の古い領主の館か、いや、狩猟地の別邸だろうな、農民の素朴さを活かした、しかも気品の高い、おちついた調度をそろえるんだな」

子供は頭をかしげるが、相槌を打つ言葉がみつからないのだろうか、右肩をゆりあげたり、頬ぺたをこすったりするばかりで、なにも云わなかった。