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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
「朝日新聞 夕刊」1962(昭和37)年4月1日~10月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 页
であるところの右翼派諸氏は、しかるべく活動を致しているようであり、その動静はしばしば諸種のジャーナリズムに報道されるようである。
けれども、わが憂国塾ではそういう動きはみられなかった。ときにそれらしい議論の出ることはあるが、それも先生の一方的な主張の展開であり、八田塾生は傾聴するだけであった。先生の主張はたいていの場合おそろしく飛躍的であり、信じがたいほど独創的であって、さすがの塾生も自分の耳を疑うようなことが稀ではなかったが、それでもなお、決して反論を述べるようなことはなかった。
これを俗にいえば、塾頭も塾生ものらくらと時間をつぶし、資金のあるあいだはもっぱら飲食と、怠けることをたのしんでいるだけのようであった。
そんなことが現実にあり得るとしても、なが続きをすることが考えられるだろうか。念を押すまでもなくそんな可能性はない。八田塾生は三回めの資金調達で、その事実に突き当った。寒藤先生がかつてめをかけてやったという、新聞数社のデスクや、局付き某その他の人たちが、じつは寒藤清郷という人物を知らず、顔も見たか見ないか記憶がないこと、カンパをしたのは一種のつきあいと、そのときの気まぐれと、ふところぐあいによるものだったこと、しかも自分がカンパを投与したことさえすぐに忘れてしまっていること、などがはっきりした