轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

「朝日新聞 夕刊」1962(昭和37)年4月1日~10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 201,379 字 · 394 页

青空文庫

「おまえは天気がどうのこうのというが、それは気象学としての文句か、それとも天文学としての文句か」

北の長屋に付属して、二戸建ての古屋があり、あまりに古く、手入れもしないため、ぜんたいが南へかしがっており、いまにも倒れそうにみえるため、そちら側に三本の長い杉丸太で突っかい棒がしてあった。――ところで、暴風雨がやって来ると、その家の住人たちは、いそいでその突っかい棒を取りはずすのである。これは誰でもいちおう「逆じゃないか」と疑いをもつ。嵐になるのだから、そのときこそ突っかい棒をする、というのが一般的な考えだからだ。けれどもその家の住人は、「それは常識というものでこの家には通用しない」という。もしもその家に突っかい棒をすれば、強風のため家はばらばらになってしまう。突っかい棒を取りはずしてやれば、家は風の強弱に順応してゆらゆらと揺れる。要するに風に抵抗しないことが、この家の唯一の保全法なのだ、ということであった。

「それはもはや建築学では論じられないな」京太は話を聞いていった。「むしろそれは、材料強弱学の問題だあね」

妻のおたねは従順であった。亭主より一つとし上というひけめなどではない。