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がくもんのすすめ
学問のすすめ
福沢 諭吉
「学問のすすめ」1872(明治5)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页
しかるに専制の政にて、人民の助言をば少しも用いず、またその助言を述ぶべき場所もなきは、これまた保護の一方は達して指図の路は塞がりたるものなり。人民の有様は大きに御苦労なりと言うべし。
この類を求めて例を挙ぐればいちいち計うるに遑あらず。この「世話」の字義は経済論のもっとも大切なる箇条なれば、人間の渡世において、その職業の異同事柄の軽重にかかわらず、常にこれに注意せざるべからず。あるいはこの議論はまったく算盤ずくにて薄情なるに似たれども、薄くすべきところを無理に厚くせんとし、あるいはその実の薄きを顧みずしてその名を厚くせんとし、かえって人間の至情を害して世の交際を苦々しくするがごときは、名を買わんとして実を失うものと言うべし。
右のごとく議論は立てたれども、世人の誤解を恐れて念のためここに数言を付せん。修身道徳の教えにおいてはあるいは経済の法と相戻るがごときものあり。けだし一身の私徳は悉皆天下の経済にさし響くものにあらず、見ず知らずの乞食に銭を投与し、あるいは貧人の憐れむべき者を見れば、その人の来歴をも問わずして多少の財物を給することあり。そのこれを投与しこれを給するはすなわち保護の世話なれども、この保護は指図とともに行なわるるものにあらず、考えの領分を窮屈にしてただ経済上の公をもってこれを論ずれば不都合