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がくもんのすすめ

学問のすすめ

福沢 諭吉

「学問のすすめ」1872(明治5)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 87,080 字 · 170 页

青空文庫

十一編

名分をもって偽君子を生ずるの論

学問に入らば大いに学問すべし。農たらば大農となれ、商たらば大商となれ。学者小安に安んずるなかれ。粗衣粗食、寒暑を憚らず、米も搗くべし、薪も割るべし。学問は米を搗きながらもできるものなり。人間の食物は西洋料理に限らず、麦飯を食らい味噌汁を啜り、もって文明の事を学ぶべきなり。

十一編

名分をもって偽君子を生ずるの論

第八編に、上下貴賤の名分よりして夫婦・親子の間に生じたる弊害の例を示し、「その害の及ぶところはこのほかにもなお多し」との次第を記せり。そもそもこの名分のよって起こるところを案ずるに、その形は強大の力をもって小弱を制するの義に相違なしといえども、その本意は必ずしも悪念より生じたるにあらず。畢竟世の中の人をば悉皆愚にして善なるものと思い、これを救い、これを導き、これを教え、これを助け、ひたすら目上の人の命に従いて、かりそめにも自分の了簡を出ださしめず、目上の人はたいてい自分に覚えたる手心にて、よきように取り計らい、一国の政事も、一村の支配も、店の始末も、家の世帯も、上下心を一にして、あたかも世の中の人間交際を親子の間柄のごとくになさんとする趣意なり。